奨学生活動レポート|student report

私がヴァイオリン及び音楽を学んでいるチューリッヒ芸術大学(Zürcher Hochschule der Künste、以下ZHdKと略)は、複数の芸術系学校の統合により2007年に設立されました。
その名の示す通り、音楽大学ではなく芸術大学の数ある学部の中の音楽学部に所属しています。この学校の特色として、音楽を芸術の一形態として扱い、勿論音楽学生のカリキュラム(レッスン、オーケストラ、音楽史等)はこなしつつ、同時に様々な芸術分野の学生とのコラボレーション、交感が求められるという点が挙げられます。
具体的には、Bachelor(学士)課程に在籍する場合、三年間のカリキュラムの内学期間に計三回一週間に及ぶZ-Modul週間があり、そこでは自分の専攻以外の芸術分野の教授、学生達と講義を受けたり、作品を作ったりします。また、学士のディプロマの試験でも、一人の芸術家として自分だけに可能なオリジナリティのあるパフォーマンスが求められ、たとえ楽器の演奏が素晴らしく音楽の知識が豊富でも、そこにアイデンティティとオリジナリティがみられない場合には良い結果は得られません。
これまでは学科ごとに別々のキャンパスで学んでいましたが、この九月からは旧TONIヨーグルト工場を改築した新校舎に全ての学科が一つに納まり、今後この様々な芸術分野の交流はますます加速すると思います。

Zuerich Toniareal

チューリッヒは大変コンパクトな中に全てが収まっている、そんな印象の街です。
パリやニューヨークの様な華やかさはないかもしれませんが、街は異常なまでに清潔ですし、移動のインフラは完璧です。素晴らしい芸術コレクションを所蔵する美術館があり、ZHdKの学生証を見せればチケット代を払わずにみれるか、もしくは学生料金で見学が可能です。私自身時間があればまず図書館か美術館に足を運びます。
それからチューリッヒにある主なオーケストラは三つ、トンハレオーケストラ、オペラハウスオーケストラ、チューリッヒ室内オーケストラです。中でもオペラのレヴェルの高さはヨーロッパでも随一で、また、数少ない赤字を出さないオペラハウスとしても有名です。そして大抵の演奏会、オペラを学生は学生料金で聴く事が出来ます。ヨーロッパの政府やパトロンのこのような芸術文化の支援システムは大変尊敬します。

しかし、チューリッヒは同時に世界で最も物価の高い都市でもあります。
裕福でない学生達はどうにかこうにかしてお金を節約しており、滅多な事では外食しません。私もアパート代の節約の為に複数の学生とシェアハウスをしています。
日本の学生達はアパートを借りる事も一般的かと思いますが、ヨーロッパではWGというこのシェアハウスが一般的です。異なるバックグラウンドの学生と住む事は、広い世界を知るという意味でとても為になりますし、英語やドイツ語等の習得にも効果的です。
また時には一緒にご飯を作る事もあり、ただ単にアパート代の節約に終わらないところが良い点ですが、場合に依ってはトラブルが起きる事もあります。しかしそれを乗り越える手腕を身につけるのも留学する意味の一つでもあるでしょう。

旧校舎

スイスの素晴らしい点としてやはり自然が豊かな点が挙げられます。
空気は大変素晴らしく、少し郊外に出てみれば牛やヤギが草を食んでいます。
私もスイスで美しい夕暮れの時には必ず外に出て、チューリッヒ湖に移る夕焼けをみながらリフレッシュしています。

夕焼け

16才の時にチューリッヒへ留学をすると決めたとき、私には一流のヴァイオリニストになるという明確な目的があり、様々な方々の助けのお陰で今もその目的の為に邁進出来ています。
自分の夢と演奏に共感し、ご支援を続けて下さっている全ての方に感謝を忘れずに、これからも皆様へ音楽の歓びを届け続けたいと願っています。